「学生起業家」という言葉が、一般に広く普及した現代社会。
学生の間に起業することは、若いうちから自分でビジネスを創り、社会に貢献することができるという可能性があります。しかし、学生起業は成功することができるのか。また、成功するためにはどのような準備が必要なのか。
こちらでは、学生起業で成功するポイントや成功事例、起業で気をつけることについてご紹介していきます。
また、学生起業のメリットやデメリットについても触れていますので、これから起業を考えている学生の方や、起業準備をしている学生の方に参考になれば幸いです。
学生起業のメリット・デメリット
学生起業には、メリットもあればデメリットもあります。
学生起業のメリット
- 時間的余裕がある
- リソースが手に入りやすい
- 起業家としての経験が積める
- 自己実現の機会が増える
学生であれば、授業の合間や夏休み・冬休みなどに時間的余裕があるため、ビジネスプランの練り上げや商品開発などに充てることができます。学業や受験などもありますが、社会人と比べて自分の時間を作りやすいです。
大学生であれば、学校によっては学内に起業のための研究施設や、起業に関する専門家や先輩が大勢います。先輩たちのアドバイスや大学の技術力を活用することで、コストを抑えながらビジネスを展開することができます。
学生起業を通じて、経営やマーケティング・リーダーシップなどのアントレプレナーシップスキルを身につけることができます。失敗した場合でも、就職活動に切り替えるという選択肢があります。
学生の間に起業するというのは、自分がやりたいことを実現するためのチャンスを他の人よりも早く得るということ。自分のアイデアやビジョンを実現することで、自分自身の成長につなげることができます。
学生起業のデメリット
- 学業との両立が難しい
- 学生だからこそのスキル不足
- 資金調達が難しい
起業には、多大な時間と精神的な負担が伴います。特に、学業と起業を両立する場合は、学校の単位取得や卒業論文の計画等を十分に考える必要があります。
社会人起業と比べて学生の間に起業する場合は、スキル不足が否めません。経営に関する知識だけでなく、社会がどう動いているのかなど、包括的なビジネススキルを早くに習得する必要があります。
起業には資金が必要ですが、学生起業家にとっては、自己資金や友人・家族からの借り入れなど、資金調達が難しい場合があります。学生起業向けの資金支援を活用していきましょう。
学生起業を成功させる5つのポイント
学生起業を成功させるために知っておきたい5つのポイントについてご紹介していきます。
起業の目的を明確にする
学生に限らず、起業するときは「何」を目的に事業を始めるのか、「どんな問題」を解決するのかを明確にすることが大切です。マーケット(市場)やターゲットのニーズを把握し、自分の強みをどう生かせるか、どのように事業を展開していくかを考えてみましょう。
ビジネスアイデアの作成
学生起業をするのであれば、ビジネスアイデアが不可欠です。自分が得意とする分野や興味のある領域、今までの経験や知識を生かしたビジネスアイデアを考えましょう。また、競合分析を行いながら、どういう風にマネタイズしていくかも合わせて考えます。
先輩起業家にアドバイスをもらう
学生のうちに起業した先輩たちは大勢います。同じ学校の卒業生にいる場合は、一度話を聞いてみることをおすすめします。また、SNSで発信している学生起業家の方々に連絡してみましょう。
仲間を見つける
学生起業は一人でするには難しいことも多いため、優秀な仲間を見つけることが大切。自分の弱点を補完し、協力しながら目標に向かってともに歩むチームを見つけましょう。
学生起業支援機関にアプローチする
大学や地方自治体、国には、学生向けの起業支援機関・サポート体制が多くあります。そこでは、起業家に必要な情報やノウハウを提供するだけでなく、資金調達やビジネスパートナーの紹介などの支援も行っています。また、アクセラレーターやインキュベーターなどのプログラムに参加することで学生起業の成功率もぐんと上がります。
学生起業の成功事例
学生起業をするのであれば、先輩起業家の事例を知ることも大切です。
こちらでは、学生時に起業し現在も活躍している起業家の成功事例をご紹介していきます。
成功事例:株式会社Gunosy
情報キュレーションアプリ「Gunosy」を提供する株式会社Gunosyは、2012年に、東京大学院在学中の福島良典氏が創業しました。当時はスマートフォンが普及し始めたタイミングであり、ニュースアプリの市場規模はごく僅かでしたが、新聞社と同じでは成功しないということで、最適な情報をリアルタイムに提供するというできるようにサービスを展開していきました。2015年に東京証券取引所マザーズへ上場。そして、2017年には東証一部へ上場を果たしました。
成功事例:dely株式会社
料理動画サイト「クラシル」を提供するdely株式会社は、慶應大学在学中に堀江裕介氏が起業しました。テキストではなく、動画で分かりやすく簡潔にまとめた料理レシピが評価され、SNSやアプリを通じて、2017年時点で月間再生数1億7000万回を記録。アメリカの先発サービスを抜き、230万人のファンを擁する世界最大級の料理動画サイトへと成長を遂げています。2018年にヤフーが93億円で買収、子会社化しました。
成功事例:BASE株式会社
鶴岡裕太氏が東京工科大学在学中に設立した、BASE株式会社。Eコマースプラットフォーム「BASE」や支払いアプリ「PAY ID」などを提供しています。2014年にAppleが注目するデベロッパーに日本からBASE社が選出。また、2016年には、鶴岡氏は「Forbesが選ぶアジアを代表する30歳未満」の小売り&Eコマース部門に。2018年には、Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング2019」第3位に選出されています。2019年10月に東証マザーズに上場しました。
成功事例:株式会社PoliPoli
慶應義塾大学在学中に、伊藤和真氏によって設立されたスタートアップ。政治家に声を届ける政策共創プラットフォーム「PoliPoli」及び、国民の声が行政に届くウェブサイト「PoliPoli Gov」を提供しています。2023年2月に、NTTドコモ・ベンチャーズ・KDDI Open Innovation Fund 3号・Skyland Ventures・エンジェル投資家数名から資金調達を実施したことを発表しています。
成功事例:スタディプラス株式会社
2010年、慶應義塾大学法学部在学中に在籍していた廣瀬高志氏によって創業されました。会員数700万人以上、大学受験生の2人に1人が利用する学習管理アプリ「Studyplus」を提供しています。2022年8月に、シリーズDラウンドでの資金調達を実施しました。
学生起業で気をつけること
最後に、学生起業で気をつけるべきポイントをお伝えします。
学業とのバランスを考える
学生として、学業を優先することも必要です。大学を中退または退学して起業する方もいますが、在学中に起業する際には、学業とのバランスを考え、両立するための計画を立てましょう。起業に時間を費やしすぎると、学業がおろそかになり、卒業できなくなる場合があります。
専門家とのコネクションを作っておく
起業家には、ビジネス以外にも多くのやるべきことがあります。例えば、決算における確定申告や、ビジネスを運営する上で国に提出する必要のある書類など。スタートアップ向けに、税理士や顧問弁護士をリーズナブルな価格で契約できるサービスも数多くありますので、活用していきましょう。
最初はなるべく低コストで始める
どんなビジネスを展開するかにもよりますが、現在の学生起業家の多くは、スマホ・パソコン1台で起業する方が増えています。また、当初とは別のビジネスを展開する可能性もあるため、なるべくコストを抑えた起業をおすすめします。
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まとめ
学生起業には、成功するために克服しなければならない困難がありますが、成功すれば、将来的に大きなビジネスチャンスが得られる可能性があります。
目的を明確にし、ビジネスプランを作成し、チームを組み、学生起業支援機関にアプローチしてみることで、成功への近道を見つけることができます。
ただし、学業と起業活動の両立や法的問題への対応、リスク管理などには注意が必要です。それでも、自分のアイデアを実現したいという強い意志がある場合には、学生起業にチャレンジしてみることをお勧めします。